臨床検査技師の国家試験では水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンの鑑別が必要な問題が過去10年間で4回出題されています。
内訳としては「水溶性ビタミンはどれか。」が3問と「過剰症となるビタミンはどれか。」が1問の合計4問です。
「過剰症となるビタミンはどれか。」の問題は水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの鑑別に一見関係ないように見えますが、過剰症を引き起こすのは脂溶性ビタミンになるので鑑別が必要となります。
10年以上前の国試には「脂溶性ビタミンはどれか?」といった問題も出題されているので水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンセットで覚えていきましょう!
また、ビタミンは化学名を覚えていることが前提の問題も増えているので一緒に対策していきましょう。
第72回臨床検査技師国家試験を受験する方には是非得点してほしい頻出問題です。
ビタミンのまとめ
今回は水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンの部分を覚えていきましょう。
水溶性ビタミン | 化学名 | 欠乏症 | その他 |
---|---|---|---|
ビタミンB₁ | チアミン | 脚気、Wernicke脳症 | 活性型はTPP(チアミンピロリン酸) |
ビタミンB₂ | リボフラビン | 口角炎 | 活性型はFMN(フラビンモノヌクレオチド)、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド) |
ビタミンB₃ | ナイアシン(ニコチン酸と ニコチンアミドの総称) | ペラグラ | NADの構成成分 LDの補酵素 |
ビタミンB₅ | パントテン酸 | 皮膚炎 | |
ビタミンB₆ | ピリドキシン、ピリドキサル | 皮膚炎 | 活性型はPLP(ピリドキサルリン酸)でアミノトランスフェラーゼの補酵素(アミノトランスフェラーゼのホロ化に関与) |
ビタミンB₉ | 葉酸 | 巨赤芽球性貧血 | |
ビタミンB₁₂ | コバラミン | 巨赤芽球性貧血(悪性貧血) | 構成成分にCo(コバルト) 回腸から吸収される |
ビタミンC | アスコルビン酸 | 壊血病 | コラーゲンの生成に関与 抗酸化作用 |
脂溶性ビタミン | 化学名 | 欠乏症 | その他 |
---|---|---|---|
ビタミンA | レチノール | 夜盲症、結膜乾燥症 | 視覚の正常化に関与 βーカロテンは前駆物質 |
ビタミンD | カルシフェロール | くる病、骨軟化症、骨粗鬆症 | 骨代謝に関与(骨形成を促進) 肝臓で25位の水酸化を受け、25(OH)Dに変換後、腎臓で1α位の水酸化を受け、1,25(OH)₂D に変換 |
ビタミンE | トコフェロール | 溶血性貧血 | 抗酸化作用 |
ビタミンK | フィロキノン、メナキノン | 血液凝固障害、新生児メレナ | 血液凝固因子の生成に必要 |
水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンのゴロ
水溶性ビタミンのゴロ(覚え方)
水溶性ビタミンはゴロで覚えていきましょう!
水溶性ビタミンのゴロ”水BiCha(みずびちゃ)”
水→水溶性ビタミン
Bi→ビタミンB群
Cha→ビタミンC
脂溶性ビタミンのゴロ(覚え方)
脂溶性ビタミンはゴロで覚えていきましょう!
脂溶性ビタミンはゴロ”脂DAKE(あぶらだけ)”
脂→脂溶性ビタミン
D→ビタミンD
A→ビタミンA
K→ビタミンK
E→ビタミンE
過去問を解いてみよう!
では実際に過去10年分の国家試験(第62~71回臨床検査技師国家試験)から水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの鑑別について出題された問題を4問解いてみよう!
出典:厚生労働省ホームページ
第65回臨床検査技師国家試験問題および正答について
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp190415-07.html
第68回臨床検査技師国家試験問題および正答について
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html
第70回臨床検査技師国家試験問題および正答についてhttps://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-07.html
第71回臨床検査技師国家試験問題および正答についてhttps://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-07.html
問題が解き終わったら下の解答・解説を読んで理解を深めよう!
もし1問でも間違えてしまったら全問正解出来るまで何度でもチャレンジしよう!
過去問の解答・解説
下記の解説でのビタミンの表から欠乏症やその他の列は省略してあります。
第65回 PM38
水溶性ビタミンはどれか。
1.カルシフェロール
2.トコフェロール
3.メナキノン
4.リボフラビン
5.レチノール
解答:4
1のカルシフェロールはビタミンD、2のトコフェロールはビタミンE、3のメナキノンはビタミンK、4のリボフラビンはビタミンB₂、5のレチノールはビタミンAの化学名です。よって、解答は4のリボフラビンになります。1、2、3、5は脂溶性ビタミンで誤りです。
水溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンB₁ | チアミン |
ビタミンB₂ | リボフラビン |
ビタミンB₃ | ナイアシン(ニコチン酸と ニコチンアミドの総称) |
ビタミンB₅ | パントテン酸 |
ビタミンB₆ | ピリドキシン、ピリドキサル |
ビタミンB₉ | 葉酸 |
ビタミンB₁₂ | コバラミン |
ビタミンC | アスコルビン酸 |
脂溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンA | レチノール |
ビタミンD | カルシフェロール |
ビタミンE | トコフェロール |
ビタミンK | フィロキノン、メナキノン |
第68回 PM29
水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。
1.ビタミン A
2.ビタミン C
3.ビタミン E
4.ビタミン K
5.葉 酸
解答:2・5
解答は2のビタミンCとビタミンB群である5の葉酸です。1のビタミンA、3のビタミンE、4のビタミンKは脂溶性ビタミンで誤りです。
水溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンB₁ | チアミン |
ビタミンB₂ | リボフラビン |
ビタミンB₃ | ナイアシン(ニコチン酸と ニコチンアミドの総称) |
ビタミンB₅ | パントテン酸 |
ビタミンB₆ | ピリドキシン、ピリドキサル |
ビタミンB₉ | 葉酸 |
ビタミンB₁₂ | コバラミン |
ビタミンC | アスコルビン酸 |
脂溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンA | レチノール |
ビタミンD | カルシフェロール |
ビタミンE | トコフェロール |
ビタミンK | フィロキノン、メナキノン |
第70回 PM37
過剰症を起こすビタミンはどれか。2 つ選べ。
1.チアミン
2.レチノール
3.リボフラビン
4.アスコルビン酸
5.カルシフェロール
解答:2・5
1のチアミンはビタミンB₁、2のレチノールはビタミンA、3のリボフラビンはビタミンB₂、4のアスコルビン酸はビタミンC、5のカルシフェロールはビタミンDの化学名です。1、3、4は水溶性ビタミンであり、2、5は脂溶性ビタミンです。過剰症を起こすのは脂溶性ビタミンであるため、解答は2と5です。
水溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンB₁ | チアミン |
ビタミンB₂ | リボフラビン |
ビタミンB₃ | ナイアシン(ニコチン酸と ニコチンアミドの総称) |
ビタミンB₅ | パントテン酸 |
ビタミンB₆ | ピリドキシン、ピリドキサル |
ビタミンB₉ | 葉酸 |
ビタミンB₁₂ | コバラミン |
ビタミンC | アスコルビン酸 |
脂溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンA | レチノール |
ビタミンD | カルシフェロール |
ビタミンE | トコフェロール |
ビタミンK | フィロキノン、メナキノン |
第71回 PM40
水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。
1.葉 酸
2.レチノール
3.ピリドキシン
4.トコフェロール
5.カルシフェロール
解答:1・3
1の葉酸はビタミンB₉、2のレチノールはビタミンA、3のピリドキシンはビタミンB₆、4のトコフェロールはビタミンE、5のカルシフェロールはビタミンDの化学名です。よって、解答は1の葉酸と3のピリドキシンです。2のレチノール、4のトコフェロール、5のカルシフェロールは脂溶性ビタミンです。
水溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンB₁ | チアミン |
ビタミンB₂ | リボフラビン |
ビタミンB₃ | ナイアシン(ニコチン酸と ニコチンアミドの総称) |
ビタミンB₅ | パントテン酸 |
ビタミンB₆ | ピリドキシン、ピリドキサル |
ビタミンB₉ | 葉酸 |
ビタミンB₁₂ | コバラミン |
ビタミンC | アスコルビン酸 |
脂溶性ビタミン | 化学名 |
---|---|
ビタミンA | レチノール |
ビタミンD | カルシフェロール |
ビタミンE | トコフェロール |
ビタミンK | フィロキノン、メナキノン |